当店をより知っていただくために。
オーナー安樂 哲の想いを綴ったスペシャルインタビューです。
―サロンをオープンするまではどんなことをしてきましたか?
まず、僕が美容師をめざすことになった一番のきっかけは高校時代のことでした。当時バンド活動をしていたのですが、そこで友だちのヘアメイクをしたのが楽しくて。実を言うとプロのギタリストをめざしていた時期もあったのですが、基礎ができておらず、プロとしてやっていくには全く歯が立たないと断念しました。
その後、進路について真剣に考えたとき、たどり着いたのが美容の道でした。そして福岡の美容学校に入学。
僕はやるからには”生涯現役”でバリバリ成長を続けたいと思っていたので、まずは基礎を5年間、クリエイティブな仕事を5年間、そして自分のサロンオープンという10年スパンの将来設計を組み立てました。
卒業後ご縁があった奈良の美容室で誰よりもストイックに基礎を勉強し、その後東京へ進出。
11年間下北沢の美容室に勤務した後、2007年に「春の空」をオープンし今日に至ります。
仙川でサロンを開いたのは、下北沢時代のお客さんが続けて通えるように新宿から近からず遠からずの場所であったことと、京王線沿線に住まいがあり土地勘があったから。新規オープンする際に、街の魅力に惹かれて選んだのがこの地でした。
―お店のコンセプトは?
僕が何よりめざしたのは、一生通える美容室にすることでした。
女性は妊娠や出産を機に来られなくなる人が多いので、子供を連れて来られる美容室にしたかったんです。そのために、店内には赤ちゃんを寝かすことができるような大型のソファーを、トイレにはおむつ交換用のベッドを設置しました。
そしてもう1つめざしたのが、時短でできるヘアスタイルでした。
クリエイティブで奇抜なヘアスタイルよりも、僕の得意分野を生かした1か月半から2か月後もカットしたてのような状態が持続できるスタイルを提供することが、地域密着の美容院の役目だと思ったんです。
お店のつくりにもこだわりました。道ゆくご近所の人が「ここ何だろう?カフェかな?」と興味を持って覗きたくなるように、パッと見て美容室っぽくない雰囲気にしました。まるでリビングのような、ほかの美容室とは少し違う空気感を出しています。
おかげさまでお客様からは「いつも居心地がいいね」という声をいただき、皆さんそれぞれのスタイルで寛いでいらっしゃってうれしいです。
―このサロンならではの施術はありますか?
まず髪については髪質改善をお勧めしています。
僕は本来カットが得意なので、実は当初はいっそ縮毛矯正のメニューはなくそうと思っていたんです。ナチュラルな髪のほうがお手入れは楽ですし、カットでやれる範囲でできるスタイルのほうがいいと思っていました。
しかし、縮毛矯正について勉強を重ね熟知し、髪質や薬のコントロールをすることで、新たなノンアイロンの縮毛矯正ができるようになりました。これによってツヤを出しきれいにすることで、カットだけでは引き出せなかった喜びよりさらにワンランク上の感動も与えることができるようになったのです。今では、美容室では珍しいこのノンアイロンの縮毛矯正メニューも上手に使いながら、髪質改善に力を入れています。
また、小顔、美肌、育毛、着付けにも取り組んでいます。
着付けのできる美容室は意外と少ないという話を呉服屋さんから聞いて、着付けを始め、前撮り撮影会なども実施するように。
同じように小顔サロンのオーナーから美容室でできる小顔術を教わり、こちらに関しては僕の妻が担当しています。こういった新しい取り組みは、お客さんにとっても僕らにとってもうれしいことですね。
―接客の際に心がけていることは?
お客さんがドアから入ってきた瞬間に、何を求めてやってきたのか?をインスピレーションで感じるようにしています。
大切なのは、お客さんがお家でどこまで手をかけられるか。朝は30分しか時間がない、お子さんがいる、産後の方……、ライフスタイルやよくやる仕草などから日常の動きを想像し、今後1か月をどのように過ごしたいかに対するご提案をしています。
例えば冬はアウターの色とのバランスを考えたり、夏は日焼けすることを計算して首元に落ちる髪の長さを決めたり、季節によっても対応は違ってきますね。
僕はできるだけパーソナリティーを新鮮な感覚で捉えたいと思っているので、当店のカルテにはほとんどお客さんの細かい情報は書きません。毎回お客さんを新しくしてあげるために、あえて凝り固まったイメージを持たないようにしているんです。情報が多すぎるとパーソナリティーが生かせなくなりますから。
お客さんにお支払いいただく金額に見合った満足度の高いカットをするためにどうすればいいかを常に考えています。
―今後取り組んでいきたいことや将来の夢はありますか?
今後は、ヘアはもちろん小顔、美肌、インナービューティーを含めた美容で、お客さんの生活をトータルプロデュースしてあげることが夢です。お顔まわり全体から全身の美容へ、もはや美容室ではない一歩進んだサロンをめざしたいですね。
そして最終的には、僕を求めてくれるお客さんに、もっとお手入れしやすいスタイルを提供していきたいです。髪ってひと束で表情が変わるので、カットをしながら新しい表情を見つけたときに楽しみが生まれるんです。そんなふうに楽しみながらお客さんに喜びを与えていきたいです。
僕は立ち止まることが嫌いなので、常に動き続けて新しいことにも挑戦していくつもりです。実は60歳を過ぎたらマッサージ師になりたいんです。基本的に誰かを癒す、優しくしてあげることで快適になってもらうのが好きなので、その究極の形であるマッサージを極めたいです(笑)。
髪や体に関わることでその人を美しく健康に導くことを最終目標に、これからも広く深くをめざしていきたいと思います。